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世界のカレー
インドネシア
さまざまな文化の影響を受けた、古来からのスパイスの宝庫。
「この世の香辛料がすべてここでとれる」と、13世紀にマルコ・ポーロをして言わしめたジャワ島や、香料諸島と呼ばれ、過去何千年もの間、世界で唯一のナツメッグ、クローブ、メースの産地だったモルッカ諸島…。インドネシアでは紀元前より中国やインド、アラビア商人による香辛料貿易が行われており、ヨーロッパにその名を知らしめていました。高価なスパイスを求めてポルトガル人やスペイン人が新航路を開拓しはじめ、これが大航海時代の幕開けとなったのです。その後イギリス人やオランダ人もインドネシアを訪れ、特にオランダは17世紀から19世紀にかけて200年以上もこの地を支配し、香辛料貿易を独占しました。インドネシアには有人だけでも大小合わせて3000もの島が点在していますが、その料理は、香辛料を求めて過去に海外から訪れたさまざまな民族に影響され、今も島それぞれに料理の特徴があります。
たとえば西スマトラのパダン料理は、シナモンスティックやアニス、赤とうがらしなどを使った「ルンダン・サピ」のような、中近東やインド方面のイスラム文化に影響を受けた、肉を多用する辛い煮込み料理が特徴的です。また、ヒンドゥー教と仏教の影響を受けたジャワ島では、豆や野菜を多用するほか、レモングラスやこぶみかんの葉(カフェライムリーフ)を使ったあっさりした鶏肉と春雨のスープ「ソトアヤム」など、中国の影響を受けた料理が見られます。リゾート地としても名高いバリ島は、イスラム教徒が大多数のインドネシアで唯一ヒンドゥー教の息づいた島であり、イスラム教で禁忌とされる豚肉の料理もあります。ターメリックやレモングラス、コリアンダーシード、エシャロット、にんにくなどを混ぜたペーストをすり込んだ豚の丸焼き「バビグリン」が名物です。